2022年02月13日 2030年50%削減は野心的な目標?
2030年50%削減は野心的な目標?
こんにちは、気候アクション滋賀ネットワークです。
3月末までに策定される予定の「滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画」。原案では、計画の年限である2030年の温室効果ガス排出量は2013年比50%削減という目標になっています。
日本政府の目標(NDC)は2013年比46%削減ですから、それよりも高い野心的な目標だと県は胸を張っています。
そこで今回は、その目標値を検証してみます。

(図を右へスクロールすると解説があります)
滋賀県の温室効果ガス総排出量(単位:万t-CO2)
2010年 1157(国際的な基準年)
2013年 1422(日本および滋賀県の基準年)
2019年 1106(公表データのある直近年)
2030年 711(推進計画原案の目標年限にある目標値)
つまり、滋賀県の場合は2013年比50%削減は、2010年比に直すと38.5%削減です。
ちなみに直近の2019年比だと、35.7%削減となります。
50%と言いながら、現状からはあと35.7%しか減らさないということです。
●「国よりも高い50%削減を掲げた!」と滋賀県は胸を張っていますが、2010年比に直すと、国は41%、滋賀県は38.5%。
国よりも低い目標値です。
●IPCC1.5℃特別報告書(2018年)では、世界全体で45%削減が必要と指摘されました。これを滋賀県に当てはめると、2013年比なら55%削減が必要ということになります。
●しかし気候正義を考えると、長く温室効果ガスを大量に排出し続けた先進工業国により多くの削減義務があることは明らかです。
国際的な研究機関のクライメート・アクション・トラッカーが日本に必要と算出したのは2013年比62%削減。
滋賀県に当てはめて数値を計算すると、540.36万トン。
これだと2010年比53.3%削減になります。
●もし滋賀県の目標を2013年比60%にすると、目標とする総排出量は、568.8万トン。
これは2010年比なら50.8%削減となり、現時点での国際社会のスタンダードな2030年目標(2010年比50%削減)に合致するぎりぎりです。
昨年11月のCOP26では、今年末までに数値目標の底上げが各国に求められていたため、あっという間に不十分な目標と評価されるようになる可能性が高いでしょう。
●以上により、滋賀県が計画で目標と定めるべき数値は、2013年比62%以上が適切という結論が導かれました。
●まず高い目標を掲げることで、どうすれば達成できるようになるかを必死で考えることになります。
東京都は2000年比50%(2013年比55%)の目標を掲げていますが、担当課は「どうやるかは考えていない。必要だから宣言した」と言われています。その目標に合うように、どんどん政策を載せていっているのが現状だそう。
●現在、日本でトップを走るのは長野県と鳥取県の60%削減です。
滋賀県が「環境先進県」を名乗り続けるのであれば、やはり62%を最低限の目標として掲げるべきではないでしょうか。
私たちは、それを求めていきたいと思います。
なお、データは滋賀県の作成した「滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりに向けた現状と推移」23ページを参照しました。
ファイルはこちらに掲載しています。
こんにちは、気候アクション滋賀ネットワークです。
3月末までに策定される予定の「滋賀県CO2ネットゼロ社会づくり推進計画」。原案では、計画の年限である2030年の温室効果ガス排出量は2013年比50%削減という目標になっています。
日本政府の目標(NDC)は2013年比46%削減ですから、それよりも高い野心的な目標だと県は胸を張っています。
そこで今回は、その目標値を検証してみます。

(図を右へスクロールすると解説があります)
滋賀県の温室効果ガス総排出量(単位:万t-CO2)
2010年 1157(国際的な基準年)
2013年 1422(日本および滋賀県の基準年)
2019年 1106(公表データのある直近年)
2030年 711(推進計画原案の目標年限にある目標値)
つまり、滋賀県の場合は2013年比50%削減は、2010年比に直すと38.5%削減です。
ちなみに直近の2019年比だと、35.7%削減となります。
50%と言いながら、現状からはあと35.7%しか減らさないということです。
●「国よりも高い50%削減を掲げた!」と滋賀県は胸を張っていますが、2010年比に直すと、国は41%、滋賀県は38.5%。
国よりも低い目標値です。
●IPCC1.5℃特別報告書(2018年)では、世界全体で45%削減が必要と指摘されました。これを滋賀県に当てはめると、2013年比なら55%削減が必要ということになります。
●しかし気候正義を考えると、長く温室効果ガスを大量に排出し続けた先進工業国により多くの削減義務があることは明らかです。
国際的な研究機関のクライメート・アクション・トラッカーが日本に必要と算出したのは2013年比62%削減。
滋賀県に当てはめて数値を計算すると、540.36万トン。
これだと2010年比53.3%削減になります。
●もし滋賀県の目標を2013年比60%にすると、目標とする総排出量は、568.8万トン。
これは2010年比なら50.8%削減となり、現時点での国際社会のスタンダードな2030年目標(2010年比50%削減)に合致するぎりぎりです。
昨年11月のCOP26では、今年末までに数値目標の底上げが各国に求められていたため、あっという間に不十分な目標と評価されるようになる可能性が高いでしょう。
●以上により、滋賀県が計画で目標と定めるべき数値は、2013年比62%以上が適切という結論が導かれました。
●まず高い目標を掲げることで、どうすれば達成できるようになるかを必死で考えることになります。
東京都は2000年比50%(2013年比55%)の目標を掲げていますが、担当課は「どうやるかは考えていない。必要だから宣言した」と言われています。その目標に合うように、どんどん政策を載せていっているのが現状だそう。
●現在、日本でトップを走るのは長野県と鳥取県の60%削減です。
滋賀県が「環境先進県」を名乗り続けるのであれば、やはり62%を最低限の目標として掲げるべきではないでしょうか。
私たちは、それを求めていきたいと思います。
なお、データは滋賀県の作成した「滋賀県CO2ネットゼロ社会づくりに向けた現状と推移」23ページを参照しました。
ファイルはこちらに掲載しています。
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気候アクション滋賀ネットワーク
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