2022年03月17日    滋賀県の計画はどこがダメなの? 田中信一郎さんに聞いてみた

はてな


滋賀県の計画はどこがダメなの? 田中信一郎さんに聞いてみた

 こんにちは、気候アクション滋賀ネットワークです。

 ある新聞記者の方から質問を受けました。
 「滋賀県のCO2ネットゼロ社会づくり推進計画は、何が足りないのですか?」
 決定的に足りないのは、CO2排出量を減らすための具体的な施策です。今の推進計画原案にはそれが書いていなくて、減らすための中長期的な道筋(ロードマップ)も書いていなくて、一体これでどうやって減らすのか、という内容になっています。

 さて、2020年12月に滋賀県などの主催で開催された「”しがCO2ネットゼロ”シンポジウム CO2ネットゼロで変わる2050年『滋賀』のくらしと社会」で、千葉商科大学准教授の田中信一郎さんの講演がありました。田中さんは、気候変動政策が日本で一番進んでいる長野県での政策づくりに従事された方です。CO2ネットゼロをめざす上で、滋賀県が取り組むべき課題を明確にお話しされました。

 その田中さんのオンラインゼミが3月13日に開催されたので、参加して「滋賀県の政策には中身がないのですが、どうすればいいでしょうか」と質問してみました。
 先生のお答えは、やるべき処方箋ははっきりしている、すなわち、省エネと再エネを着実に進めることだ、と。

 特に大事なのが省エネ。エネルギーとは建物の中で使っているのが大半。長野県の場合、四分の一は住宅、二分の一が企業活動、そのうち半分が工場で残り半分がオフィス。残り四分の一が自動車、うち半分がトラックで半分が自家用車。これらの効率化をどうするか。
(ちなみに滋賀の場合だと、二分の一弱が工場で八分の一強がオフィス、自動車が四分の一、家庭が八分の一)。

 エネルギー消費量が多いのは冷暖房、次が照明。だから、断熱性能の高い住宅やオフィスビルを造る。その上で高効率の空調を入れる。照明はLED化と使用の適正化。どちらも初期投資は必要だけれどエネルギー消費量が下がって元が取れること。

 自動車を減らすには、これまでのクルマ中心の都市計画を改め、自動車に依存しなくてもよいまちにすること。これまでは路面電車を廃止してわざわざクルマのためのまちを造ってきたので、その逆を実行する。それでも使うクルマは電気自動車にすれば、蓄電池の役割を果たして電気の需要と供給の調整ができると。

 こういうことを、一つひとつ確実に積み上げるしかない。環境省もそう言っています。方法はわかっているのだから、あとはどれだけ資源を投入するか、どうやって反対者を説得するか。長野県ではそのことを知事も職員も理解しています。自治体としてやるかやらないかだけの問題です、というのが、先生のお答えでした。

 そうなんです。すでにはっきりしている「やるべきこと」を、あとはやるだけ。なのに、滋賀県の新しい計画にはその具体化がされていません。再三再四、働きかけてきましたが、最後の最後まで入りませんでした。
 知事が「国よりも高い野心的な目標」と胸を張る2013年50%減という数値目標は、実は現状(2019年比)からはたった35.7%減という低い数字ですが、その達成すらこの計画ではおぼつかないでしょう。

 今やらないとどうなるか。
 どうやら県としては「ムーブメント」の言葉でごまかしつつ、10年20年先の革新的な技術でCO2問題が解決するのを待つつもりのようですが、今すぐ減らさなければ気候変動は取り返しのつかない状態になり牙をむいてきます。そして、その間は滋賀県民のお金は県外にダダ漏れで貧乏なり、産業界は力を削がれていくのです。仮に革新的な技術が後年に開発されたとしても、それを導入するような体力は残っていないかもしれません。
 これは環境だけではなく、経済や雇用の問題でもあるのです。

 より詳しくは、パブコメ前の以下の過去記事に書いていますので、ご参照ください。
「書くためのポイントを手っ取り早く教えて!」というあなたへ
パブコメを書くためのもりもり参考情報


→→→→→→→→→→→→→Climate Action Now !
気候アクション滋賀ネットワーク
代表Mail: kikohijojitai.shiga★gmail.com (★→@)
ブログ: https://climateaction.shiga-saku.net/
→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→→
参考 「気候アクション滋賀ネットワーク」の活動について




Posted by 気候アクション滋賀ネットワーク at 23:17 │Comments(0) 政策提言
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。