パブコメ結果が公表されました!(2)推進計画編

気候アクション滋賀ネットワーク

2022年02月10日 19:51

パブコメ結果が公表されました!(2)推進計画編

 こんにちは、気候アクション滋賀ネットワークです。
 2022年1月16日まで実施されていたパブリックコメントへのご協力をありがとうございました。

 条例要綱案に続き、1月28日には計画原案のパブコメ結果が公表されました。

 滋賀県CO₂ネットゼロ社会づくり推進計画原案についての県民政策コメントの実施結果について

 こちらは条例より多く、51人・団体から、182件の意見提出がありました。
 その内訳は以下のとおりです。

第1章 基本的事項 2件
第2章 社会を取り巻く状況 3件
第3章 方針と目標 61件
第4章 CO₂ネットゼロ社会の実現に向けた挑戦 89件
第5章 推進にあたって 13件
目標達成に向けた行程 9件
その他、計画全般 5件

さて、それでは詳しく見てみましょう。
第1章、第2章は省略します。

●第3章 方針と目標
 61件の意見に対し、4件が採用されました。

(1)採用された4件はすべて「2050年CO₂ネットゼロを達成した滋賀県の姿」(イラスト)への盛り込みです。
・「事業所への水素の供給」を「事業所への水素、合成メタンなどの供給」と修正。
・「未利用バイオマスの活用」を追加。
・「マイクロモビリティ」と「カーゴバイク(※イラスト)」を追加。
・温室効果ガス吸収法として「CCUS」を追加。

(2)目立つものとして、「2030年の温室効果ガス削減目標を60%以上に」上げるよう求める意見が26件ありました。
 これに対する県の回答は以下のとおりです。
「温室効果ガス排出量50%削減の目標であっても、現在の目標より2倍以上高く、かつ国の目標値を上回る野心的な目標であり、その実現は容易ではないと認識していますので、原案の目標値のままとします。」

(3)また、「再生エネルギー導入目標数値の引き上げ」を求める意見が17件ありました。
 これに対する県の回答は以下のとおりです。
「再生可能エネルギーの導入ポテンシャルについては、地域によって大きく異なり、その導入目標についても大きく異なるものと考えます。
本県においては太陽光発電が導入目標の大部分を占めており、現状の約2倍の導入拡大を目指していますが、これは国全体の想定と比較しても大きな乖離は無いものと考えており、原案の目標値のままとします。」



●第4章 CO₂ネットゼロ社会の実現に向けた挑戦
 89件の意見に対し、15件のうちの一部が採用されました。

(1)もっとも目立ったのは、12件「脱炭素へ行動を誘導するための政策や制度設計が必要である」という意見です。
 これに対する県の回答は以下のとおりです。
「第5章に、『4 必要な財政上および税制上の措置の検討』を記載することとし、税制上の措置についても検討することとします。」


(2)「第1. CO2ネットゼロにつながる快適なライフスタイルへの転換」
 「自動車から排出される温室効果ガスの削減」の施策として、計画では「次世代自動車の普及」となっているのに対し、省エネルギー型のモビリティの普及を併記するよう求める意見がありました。 
 第3章(1)に前述の、イラストに盛り込むという形で不完全に採用されました。

(3)「第2. 自然環境と調和するCO2を排出しない地域づくり」
 「人や物の円滑な移動や交流の促進」の道路整備および道路交通システム構築による交通渋滞の緩和につき、「交通流量の調整」の文言を加えるべき、という意見が採用されました。

(4)「第4 資源の地域内循環による地域の活性化」
 「木質バイオマスエネルギーの有効活用」を「木質バイオマス/バイオガスエネルギーの有効活用」と修正を求める意見がありました。2050年の姿イラストに「未利用バイオマスの活用」を盛り込むという形で不完全に採用されました。

(5)「第6 CO2ネットゼロ社会に向けたムーブメントの創出」
 「1 しがCO2ネットゼロムーブメントの拡大」に「ムーブメント促進人材の育成と活動支援」の項目を追加するという提案が、ほぼ全面採用され、以下の文言が追加されました。
「 ■ムーブメントを促進する人材の育成と活動支援
・人びとの学習やムーブメントへの参加、協力を促進するための、専門知識とコミュニケーションスキルを持った人材を育成し、地域での活動を支援します。」



●第5章 推進にあたって
 13件の意見が提出され、3件の一部が採用されました。

(1)上記の第4章(1)と同様の意見があり、同様の回答がありました。

(2)市民参加の仕組み
 「パブリックコメントだけでなく、各地での公聴会や討論型世論調査など、市民の意見を反映させる複数のしくみが必要」という意見が2件ありました。こちらは採用されています。県の回答は以下のとおり。
「第5章の『第1. 推進体制等』にも記載しているとおり、県民や事業者などと幅広く情報を共有し、意見交換等が行えるよう工夫することとしています。
 なお、ご意見を踏まえ、第4章の『第6. CO₂ネットゼロ社会に向けたムーブメントの創出』の『1 しがCO₂ネットゼロムーブメントの拡大』に、以下の文言を追記します。『・WEBサイトを活用した情報発信・情報共有、表彰制度、ワークショップやセミナーの定期的な開催など、多様な方法で、CO₂ネットゼロ社会づくりに向けた取組について理解を深め、意見を交換し、『自分ごと化』する機会を設けていきます。」


(3)なお、5件が市町との緊密な連携を促すものでした。
 県の回答は以下のとおりです。
「ご意見を参考に、市町からのニーズも把握しながら、市町のCO₂ネットゼロ社会の実現に向けた取組を積極的に支援してまいります。」

●目標達成に向けた行程
 9件の意見が提出され、採用はありませんでした
 うち8件が、目標達成に向けたロードマップをしっかり書き込んでほしいという意見でしたが、県の回答は以下のとおりです。
「計画で示している『目標達成に向けた行程』は、目標の達成に向け、『第4章 CO₂ネットゼロ社会の実現に向けた挑戦』で示す目指す方向性や施策を行程として示したものであるため、原案のままとします。」


●その他、計画全般
 5件の意見が提出され、一部に採用があったといえます。
 取組のために十分な予算の確保を求める意見に対し、上記の第4章(1)と同様に「第5章に、『4 必要な財政上および税制上の措置の検討』を記載することとし、税制上の措置についても検討することとします。」の回答がありました。

●まとめ
 今回のパブコメによって、計画案は以下の9点の修正が行われました。
 修正点はこちら

 市民目線からは、良い修正が加わった箇所もあれば、悪い修正が加わった箇所もあります。
 特に注目が集まった、目標数値の底上げやロードマップの明確化は却下され、CO2排出量を大きく削減するための実効力ある具体的な措置が盛り込まれなかったことは大変残念です。

 パブリックコメントは私たち市民の意見を行政に反映するための一つの方法に過ぎません。
 条例と計画の策定プロセスは、これから舞台を2月14日から始まる県議会に移します。
 巻き返しのチャンスはまだあるかも。
 引き続きご注目ください!



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